そ、れは、…………本当に?
……正直に言うと今、とても嬉しいと思ってしまっています。
良心に従うならダメです、いけませんよと、そう言って断るべきなのはわかっています。
でも、……もうお分かりでしょう。
僕があなたのことを好きだってこと。
……あなたを僕のものにしたいんです。
あなたの心も身体も、その魂さえも全て僕だけのものにしたいって、そう思っているんですよ。
そんな僕に攫ってだなんて……もう二度と、あの人の元へは帰しませんよ。
いいんですか?
……僕は何だって構いませんよ。
あなたが僕を選んで、この手を取ってくれるなら、何だって。
恋人を横から掠め取られた彼のどんな罵倒も、怒りも、喜んで受け入れましょう。
……監督生さんは知らなかったかもしれませんが、僕、これでも悪いことをするのは上手なんですよ。
悪役を演じるのだって得意です。……生憎と、王子様にはなれませんが。
それでもいいと言ってくれるなら、どこへでもお連れします。
あなたのためなら何だって出来ます。どんな代償だって厭わない。
ねえ、監督生さん。あなたが決めてください。
僕か、あの人か。……見逃がしてあげられるのは、きっとこれが最後です。