(部屋に引きこもっていたら、不意に部屋のドアをノックする音がした。次いで聞こえたのはジェイドの声だった)
監督生さん。いらっしゃいますか?
勝手にお邪魔してすみません。あなたが部屋から出て来ないのだと、グリムくんから聞いて……体調が優れないとか、動けないわけではないんですよね?
…………グリムくん、どうします?
(ドアを隔てているせいかくぐもった声が聞こえる)
ふな……オマエを連れてくれば出てくると思ったのに全然そんなこと無いんだゾ……。
……すみません、お役に立てなくて。
こじ開けて引きずり出してもいいのなら今すぐにでも出来ますが、それは僕の本意ではないので……。
きっと監督生さんにも一人の時間が必要なんですよ。
……せっかくですから食事の用意でもしておきましょうか。監督生さんが部屋から出て来た時、食べるように伝えてください。
……さ、グリムくん。あなたの大切な子分のために、手伝ってくれますよね?
……しょうがねえ、オレ様のとっておきのツナ缶を出してやる。子分が大喜びするうめーやつ作るんだゾ!
ふふ。そうですねえ。頑張りましょうか。
(一人と一匹の足音がゆっくりと遠ざかっていく……)