……?
何だ?酒の匂いがするが……お前が飲んだってわけでもなさそうだな。
(少しだけ不思議そうな顔をするレオナに、バレンタインだからと添えて洋酒を使ったチョコレートを差し出す。すると、レオナは耳をぴる、と揺らしてから「なるほどな」と呟いた)
酒の匂いはそれか。
俺は別に甘いもんに目がないってわけでもねえが……草食動物なりに考えたじゃねえか。
(差し出した箱をレオナは丁寧な仕草で受け取ると、どこかご機嫌そうに目を細めた)
これはこれは。
レディからの心のこもった贈り物、有り難く頂戴いたします。
俺のような者にまでお気遣いいただき恐縮です。
……礼は後で寮に届けさせる。
期待してくれていいぜ?
(わざとらしい仕草で礼を告げたレオナは、ゆらりと尻尾を揺らして見せた。
後日玄関先でグリムが何かが届いたと言うので見てみると、上品な化粧箱にこれまた上品なデザインのボトルが入っていた。添えられたカードに〝心からの感謝を。〟という走り書きがされている。
パッと見はワインに見えなくもないけど、どうやらグレープジュースのようだ……)