(ちらちらとこちらに視線を向けてくるギデルのことが気になって、視線を返しつつ名前を呼んでみる。と、ギデルは耳の先をぴくりと揺らした。話が出来るかもしれないと思ったところで、カツン、とやけに大きな靴音が鳴ってすぐに檻ががしゃんと音を立てて揺れた。
……フェローが足蹴にしたせいだ)
おいおい困るぜ、人形は人形らしく静かにしててくれねえとなあ!
……おい、ギデル。
妙な入れ知恵なんかされちゃいねえだろうな。
…………。
(ギデルはこくこくと頷いて、フェローの後ろへ隠れた。フェローが横から口を挟んできたために話し掛けられなくなってしまった……)