これはこれは、監督生さん。
ご丁寧にオクタヴィネル寮までご足労いただき、ありがとうございます。
あなたからのそのお祝いも大切に受け取らせていただきましょう。
さあ、会場へ向かいましょうか。
……せっかく来てくださったのにすぐに帰ったりなんてしませんよねえ?
パーティー会場にはたくさんの食事が用意してあります。
きっとあなたも気に入るかと。
……お手をどうぞ。
誕生日パーティーの時に自らもてなしてはならない、なんてルールはありませんから。
(緩やかに瞳を細めたアズールはそっと手を差し出してきた。従って手を乗せると、存外力強く握られて、何だか映画の登場人物みたいな恭しい仕草で手の甲へ唇を寄せられた)
……ふふ。
今日この日をあなたに祝っていただけて、はしゃいでいるんです。
いいでしょう?年に一度の誕生日ですから。
僕だってそのくらいの情緒は持ち合わせていますよ。
(アズールの指先がやんわりと手を撫でて、それからそっと離された)
監督生さんにとってオクタヴィネル寮は、もはや慣れた場所かもしれませんが……今日の主役に花を持たせると思ってエスコートさせてください。
……あなたの隣を欲しがる男は掃いて捨てるほど居ますし……それを誕生日プレゼントとしていただきましょうか。
今日のあなたの時間。贈り物をしてくださると言うならそれをねだるとしましょう。
……強欲?結構なことです。
遠慮をして逃すなんて、馬鹿のすることですから。ねえ?