別に、……どうもこうもないですよ。
これでもあなたにはお世話になりましたし、僕なりに、好意的に接してきたつもりです。
ですが、帰る方法が見つかって、あなたが帰ると言うならそれまでだ。
僕ではあなたを引き止めるに値しなかったというだけ。
…………ですが、まあ、こんなことを言うのも不謹慎と怒るかもしれませんけど、今のところそういった話はありませんから。
残された時間がどれほどか、いずれ来るであろうその時がいつ訪れるのかはわかりませんが──その時までに、僕は、……僕達は、あなたの天秤の片皿に乗せられるだけのものを乗せてやろうと思っています。
……人魚が三人も寄って集って引き止めてやろう……と思う程度には、あなたを気に入っているわけです。
ですからどうぞ、あなたは僕達と故郷を天秤に掛けてください。
最後に選ぶのは他でもないあなたですよ。