(オンボロ寮の窓の向こうに、すっかり見慣れた、随分と縦長なシルエットを見かけたものだからつい、外へ出て声をかける。すると、その人はゆっくりと振り返った)
……こんばんは。
僕が言えたことではありませんが、夜更かしをして、こんな時間にふらふらと外へ出て来てはいけませんよ。
あなたは魔法ひとつ使えない、か弱い女性なんですから。……身体も冷えてしまうでしょう。
(にっこりといつもの笑みを浮かべるジェイドは、何かを隠すようにそっと右手を後ろへ回す。……何だろう)
……さあ、監督生さん。早く寮の中へ戻って。きっとグリムくんが寂しがっています。
扉と窓全てにしっかりと鍵をかけて、カーテンをきちんと閉めて、眠くなくても目を閉じるんです。明日、寝坊して困るのはあなたでしょう?ね、ほら。
(有無を言わせない雰囲気だ……)
何持ってるんですか?