そう…特に気にしなかったよ。

少し変とは思ったけど、僕は綾波の事を大して知らなかったし…
誰かの思い出の品かもしれないものを、他人の僕が触るのは良くないからね。

そう思って部屋の探索を再開しようとした…その時だった。


(ガチャッ…)


部屋の奥から扉を開ける音がした…
それを聞いて、僕は思わずベッドの下に隠れてしまった。

…今考えたら、かなり変だよね。

でもさ?その時の僕は綾波の家に勝手に入っていた訳で…
その後ろめたさから…つい隠れてしまったんだ。






部屋の奥から現れたのは、綾波だった。

どうやら今までシャワーを浴びていたようで、呼び鈴に応えられなかったのもそれだったんだと一人で納得したよ。

綾波は特に気付く様子もなく、濡れた体を拭いて着替えを済ませていたみたいだったけど…

やがて…綾波の足がある場所へ向かって行くのを見たんだ。

…そう、例の眼鏡が置かれている棚だよ。

彼女が眼鏡を掛けないのは知っていたから、何故そこに行ったのかは分からなかったよ。

でも…彼女はやがて妙な独り言を呟き始めた…


…はい、分かりました。

…それは…

…と思います。



はっきりとは聞こえなかったけど、明らかに誰かと会話をしているようだった。

でも部屋には誰も居なかったし、新しく誰かが入ってきた様子も無かった。

電話もあの棚には見当たらなかったから、電話をしている様子でもない

…なら、綾波は誰と話しているんだ?

僕はそれを確かめようと、そっとベッドの下から彼女の方を覗き込んだ…


すると…






彼女は眼鏡と話をしていたんだ
特に気にしなかった