(兄弟と待ち合わせをした駅にやってきた。私と同じ、浴衣姿の女の子がたくさんいる。…彼女たちを見てたら、さっきの子たちに言われた言葉を思い出して胸がズキンと痛んだ。
…みんな私より浴衣が似合ってる。
自分の格好が恥ずかしくなり、今すぐに脱いでしまいたかったけど、そんな訳にもいかずキュッと胸元を握り締める。
……帰ろう。自分の家に帰って、早く着替えよう)
(私が乗る電車がやってきた。電車内に足を踏み入れたその瞬間、誰かに強く腕を引かれた。バランスを崩して後ろに倒れそうになるが…何者かの胸元に倒れ込み、体を抱き止められた)
っ、はぁ…危ねえ
(……蘭さん?)
(珍しく息切れをして、額に汗までかいている蘭さんがいた。
どうしてここに、と言おうとしたらギロッと睨みつけられる。こ、こわい)
アンタなんでこんなとこにいんの
この電車乗ってどこ行こうとしてた?まさか帰るつもりだった…なんて言わねえよなぁ?
(ぎゅぅ…と抱き締められる力が強くなってちょっと痛い)
(か、帰ろうとしてたけど…どうして?蘭さんたちはあの女の子たちと行動してたんじゃ、)
俺らがアイツらと一緒に回るなんて一言も言ってねえだろ
…ちょっと待ってて。今竜胆呼ぶから
(怒ったふうに素っ気なく言って、携帯を操作し始める蘭さん。
電話で「りんどー。○○さん見つかった。さっき待ち合わせしてた駅ん中」と彼が言うと「ハァ!?やっぱアイツ帰ろーとしてたの!?ざけんなよ!!」と怒りに大声を出す竜胆の声が、スピーカーにしてるわけでもないのにこっちにまで聞こえてきた。
「待ってて。ソッコーで向かう」「おう」と、弟と会話し終えた蘭さんが携帯をしまい、私に向き直った)
今の聞いて分かる通り、俺も竜胆もかなり怒ってるから
説教される覚悟だけしておいて。分かった?
(有無を言わさない雰囲気を出されながらそう言われたら、私は小さくなりながら「はい」と言うしかなかった)
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