(よく覚えてないけど、喧嘩のキッカケは些細なことだったと思う
竜胆なんて嫌い!と言うと向こうも「ああそうかよ!オレだってお前なんかキライだね!」と吐き捨ててきたので、荷物も持たずに家を飛び出してきてしまった

しまった…帰ろうにも財布も携帯も全部カバンの中にあるから、一度また灰谷家に戻らなきゃいけない
オマケに薄着で過ごしていたので、外だとちょっと寒い

ぶるっと震えて、その場に座り込む

…ここ、どこだろう

六本木はいつも竜胆がいる時しか出歩かないから、あまりよく知らない場所に来ると右も左も分からなくなってしまう
何やってんだろう。考えなしに、こんなところまで一人で来て

寒い、と声に出すと余計冷えた気がして肌を擦り合わせる

なんで、あんなこと言ったんだろう
嫌いだなんてそんな訳ないのに

…きっと怒ってるよね
戻っても、私の荷物捨てられてるかも。顔つき合わせて「お前誰だよ」とか言われたらどうしよう)

(しゃがみ込んだまま、竜胆……と小さく彼の名前を呟く)






○○!!


えっ……竜、胆?
喧嘩する