…会えっかな。そう簡単に見つけられたら苦労しねーんだろうけど、でも仕事帰りっぽかったし近所に住んでそうだったんだよな

(小さく独り言を呟きながら、辺りをキョロキョロと伺う。

…例の日から何故か無性にあの女が気になってしまう。
名前も分からないのに、気付いたらアイツのことばかり考えてしまっている。

自分でもおかしいと思っていた。
だからと言って忘れることもできず、どうにもならないまま一週間が過ぎた。
意を決して、今日。竜胆は自分のバイクを飛ばしてこの田舎町まで足を運んだ。

彼女と会えた平日の夕方過ぎ。そしてこの公園。
同じくらいの時間帯に同じ場所で待ってみることにした。また会えるかは分からないけど、それでも竜胆はこの胸のモヤモヤをどうにかしたく、六本木から飛び出してきた。

恐らく、彼女は自分よりも年上だろう。
服装と、顔の出立ちと、雰囲気で何となくそう思った。特別美人でも好みのタイプでもなかったが、女の顔は何故か脳内にこびりついている。
きっと一目見れば、すぐに本人だと気づくはずだ)








(辺りを見回していた竜胆は、ふうと一息ついてから俯いた。

…昨日、やってしまった。いや、健全な年頃の男なのだから自慰のひとつやふたつして当然だが問題は『あの女』でやってしまったことだ。
素性も謎の、ただ自分に声をかけてきただけの女をオカズに抜いてしまった。

今度は重いため息をつき、頭を抱えた。
一体自分はどうしてしまったのだろう、と。あの女は何者なのだろう、と。最近は分からないことだらけで何だか毎日が息苦しい。

早く楽になりたい。解放されたい。
そう思いながら、半ば助けを求めるような形でここまでやってきた)

……、

(抱えていた頭を上げた、その時だった)


二回目