「じゃ、場所変えよっか」

 蘭さんは私の体を抱き上げ、歩き始めた。向かった先は……彼の部屋だ。がちゃりとドアを開ける。

「えっ、兄貴の部屋でやんの!?」

「オマエの部屋汚ねーだろ。散らかってて」

「……まぁ、そうだけどさ……兄貴のベッド汚れるよ? いいの?」

「後でお前に(シーツ)替えさせるからいい」

「えぇ……」

 そんなやり取りをしながら私をふかふかのベッドに下ろして、蘭さんは私に目線を合わせるようにしゃがんだ。

「服、脱がせていい?」

「う、うん……」

「ア!! ズルい、兄貴!! オレがやる!!」

「うるせえなぁ。分かった分かった」

 蘭さんは私の隣に腰を下ろし、竜胆が目の前へやってきた。

「○○……、好き。大好き」

「……うん。私も」

「絶対優しくするから!」

「うん」

 嬉しそうに笑って私の服に手をかける。

「○○、バンザイして」

 蘭さんの言葉に従って両手を軽く上げると、竜胆がトップスを脱がせようとしてくる。蘭さんが「脱いだら寒くなるだろうから、ちょっとだけ室温上げるな」とリモコンを操作している。
 服を脱がされ、上半身に身につけているものはブラジャーのみ、という格好になった。

「下も脱ごうね」

 腰を浮かせて、自分で脱ごうとすると「オレにやらせて」と竜胆が制止してきた。ボトムスも脱がされ、下着姿になった私を見て竜胆が生唾を飲む。

「かわいー下着。なぁ? りんど……って、うわ。クソ勃起してるコイツ」

「!!」

「まだ下着姿になっただけだぞ?」

「しょうがねえだろ緊張してんだよッ」

「まあ気持ちは分かるけど」

 蘭さんが私の後ろに回った。首元や耳にキスしながら器用にブラのホックを外していく。

「あっ、ん……ッ」

 ぱさり、とブラが落ちた。蘭さんに露わになった胸を愛撫され、つい声が漏れてしまう。

「ほら、パンツも脱がせろって。汚れちまうだろ」

「わ、わかってる」

「○○さん。ちょーっと腰浮かしてくれる?」

「ん……っ、む、りぃ……」

 竜胆と話してる間もずっと胸を下から掬い上げるように触ったり乳首を爪先でカリカリくすぐってくるから、もう力が抜けて腰なんか浮かせられない。

「そっかぁ♡ ムリかぁ♡」

 やたら嬉しそうに言って蘭さんはチュッと私のこめかみにキスする。もうそれにすら感じてしまって「あっ……」と声を上げてしまう。

「兄ちゃん!!」

「わーかってるって。でけぇ声出すな」

「ほら、よっと」と蘭さんが私の体を抱き上げる。すごい。座ってるのに力持ち。
 持ち上げられて浮いた私の腰に竜胆が腕を回し、ショーツを脱がす。生まれたままの姿になってしまった。

「待って、わたしだけ、いや……」

「ああ、俺たちも脱げって? どうしよっかなぁ」

 蘭さんが悪戯っぽく笑う。
 どうしよう、って……今日は最後までするんだから脱がなきゃいけないのに。

「ウソウソ。脱ぐからさ、そんな顔しないでよ」

「……」

「かわいいなぁ、もう」

「……蘭さんのばか」

「あ、そういうこと言う?」

「ふ、ぁっ」

 耳たぶを軽く噛まれた。

「ッ……!! ○○、先にオレ脱がせて!」

「りんちゃん……?」

「○○。竜胆な、ヤキモチ妬いてんの。自分だけ放っとかれて俺たちはイチャイチャしてるから」

「説明しないで!!」

 そっか、やきもちか。……急に顔が険しくなったから、ちょっとびっくりした。

 竜胆は兄に見抜かれていたことが恥ずかしいのか、わざわざ口で説明されたことが恥ずかしいのか、顔を赤くしてこっちを見た。「はやく」と目で訴えている。
 竜胆の服を上から順番に脱がしていく。右肩から右足首にかけて、びっしりと埋まった刺青(タトゥー)が現れた。……裸を見るのは初めてではないのに、何となく恥ずかしくなる。

「俺も」

 蘭さんの服も同じように脱がしていく。彼の体も、やっぱり竜胆と同じ刺青。
 ……三人ですっぽんぽんになってしまった。ここに来て何だか急に恥ずかしくなり、体を隠しながら俯く。

「え? 今さらそんな恥ずかしくなる?」

「兄貴にさっきまで乳揉まれてアンアン喘いでたくせにな」

「いい加減キゲン直せって(笑)」

「フン!」

 プイッとそっぽを剥く竜胆。蘭さんは窓のカーテンに手をかけた。

「○○、どうする? カーテン閉める?」

「え、閉めたら真っ暗に……はならねぇか。そういやまだ昼間だもんな。でも暗くなるだろ? オレ、○○の体とか反応ちゃんと見ながらシたい」

「そうなんだよなぁ。天気はいいから真っ暗になることはねえけど……初めて三人でするんだから俺も明るい部屋でやりてえなぁ」

「……。なら、半分だけ閉めてほしい」

「オッケ〜」

 私に言われた通り、蘭さんがカーテンを半分だけ閉める。
 そういえば、曇っていた空がいつの間にか晴れている。今、何気なく窓に視線をやるまでぜんぜん気がつかなかった。

「○○」

 蘭さんに名前を呼ばれて、振り返る。

「ちょっと質問なんだけど、○○はハジメテなんだよね?」

「……うん」

「オナニーは普段どういうふうにしてんの?」

「!?」

「素人モノの撮影?」

「違ぇわ。中でイッたことがあるかどうかで今日のプレイ内容が多少変わってくる。クリオナ派だったら指挿れるだけでも痛いだろ」

「すげぇ冷静に分析すんじゃん。さすがA型」

「関係なくね?」

 二人の恥ずかしい会話で顔に熱が集まる。真顔でなんて話してんの……!

「で、どうなの? 恥ずかしいだろうけど笑ったりしないから正直に答えてほしいな」

「……えっと、その」

「わかった。じゃあ中に何か挿れたことはある? バイブとかディルドとか」

 無言で首を横に振る。

「じゃあクリ派か」

「え? 指も? 指も入れたことないの?」

 竜胆が驚いた顔で尋ねてくる。

「……いれ、ようとしたことはあるけど、怖くて無理だった」

「マジかよ〜!」

 満面の笑み。なんでそんな嬉しそうなの。

「ならクリとか乳首触りながら少しずつ慣らしてってかぁ」

「そっかぁ〜♡ ○○はクリオナ派か〜♡」

「これからナカでもイけるようにしてあげるね。まずはナカが気持ちいいところだって教えてあげないとなぁ」

「うんうん♡ オレのチンポ挿れただけで脳みそトロけるよーにさせたげる♡」

「まずはキスだな。竜胆、キスしてあげて」

「ン、」

 蘭さんに言われてすぐ竜胆がキスしてくる。
 唇をくっつけてからほとんど間を置かずに舌も入れ、私の口内を荒らし回る。


「ンぶ、……っちょ、! りんど、」
三人婚ルート3