○○さん
(晩ご飯の後、灰谷家のバルコニーに出て外の空気を吸っていると背後から蘭に声をかけられた)
竜胆、フロに行っちまって暇だから来ちゃった
外寒くねぇ?大丈夫?
(背中からぎゅっと抱き着かれ、頭に顎を乗せられる。地味に重い)
(大丈夫だよ。今夜は風も強くないし、むしろ気持ちいい)
ん、ホントだ。思ったより暖かいね
(すりすり)
(…やっぱりここからの景色、眺め良いね。六本木の街がよく見える)
だろ?○○さんも気に入ったならさ、もうここに住んじゃえよ
俺らと一緒に暮らそ
毎日こうやって三人でメシ食って、○○さんが休みの日にはどこかへ出かけてさ
……嫌?
(嫌じゃないけど…)
けど?何が引っかかってんの?
言えよ。俺らで解決できることならしてやるから
一人より二人、二人より三人…ってさ
俺と竜胆と○○さん、何をするにもこの三人でいたら絶対楽しいぜ。六本木のカリスマが言うんだから間違いなし
(自信満々に言い切る蘭に思わず苦笑いをすると、抱きしめられる力が少し弱まった気がした)
…ゴメンな。困らせるつもりはなかったんだ
俺はただ…
……ううん、何でもない
(そう謝ると、蘭は私の首筋に顔を埋めてぐりぐりと押し付けてくる)
…、…(ボソッと小さく何か呟いたような気がして「何?」と聞き返したけど彼は「何でもなーい」と言い、笑った)
竜胆フロから上がるまでこーしてよ
今の俺ら見たら多分滅茶苦茶キレるぞ、あいつ
(楽しそうに笑みを浮かべてはしゃぐ蘭。
私は彼が呟いた言葉が気になったけど、あまり詮索すると嫌がるかなと思ってそれ以上は突っ込まなかった)