(抗争中)

おい、テメエ

「あ!? …ッ、灰谷兄弟」

(抗争相手の一人に竜胆が声をかけると、男は狼狽えた。後退りする男に一歩近づく)

殴れ

「……は?」

何ビビってんだよ。早く殴れって、ほら
あ、でもなるべく顔以外な?あいつオレの顔気に入ってんだよ。だから腹とか肩とか首から下のほう頼むわ

(意味不明な注文に男は気味の悪さを感じてたじろいだ。
…が、あの灰谷兄弟を直接ブチのめすことができるチャンスが訪れたのだ。男はニヤリと笑って拳を振り上げた)

「…そんなにボコされてえならやってやるよ!!」

っ、ぐ…!

(男のパンチが腹に沈む。竜胆は呻いて顔を歪ませた。
その後、何発も体に入れられて足がフラつき始めたその時、)

「オラ、どうした!?六本木のカリスマも大したことねーなぁ!」



兄貴…もうそろそろいいかな?

蘭「おー。充分じゃね」

(それまで笑みを浮かべながら黙ってこっちを見ていた蘭が男に近づき、素早く体を拘束した)

「…ッ!? おい、どういうつもり…」

あー痛って…クソ、人が大人しくしてりゃ調子に乗りやがって
しかも顔はやめろっつったのに二発も入れてきやがったな?

「…な、何を…」

蘭「おしおきターイム♡」

「……!? ッぐあ!」

明日アイツと会うのに腫れたらどーすんだよコラッ!大好きなオレの顔がボコボコになってたら悲しむだろーが!

(文句を言いながら男をボコボコにする竜胆。
「オイあんま暴れんじゃねーよ。竜胆と違って俺は関節技得意じゃねえんだからよ」と蘭が面倒臭そうに言った)

てめえのせいでアイツに嫌われたら殺しに来るから覚えとけよ
とりあえず今日は二本イッとくか。顔殴られた回数分な?

「は!? ちょ、待…」

(ボギッ、と男の腕が折られ悲鳴が上がった。声が止まないうちにもう片方も折られる。

蘭が「ついでにコレもくれてやるよ」と警棒を振りかざした。
「よくも俺の弟を甚振ってくれたなあ?」とすでに無抵抗な男の顔面に何度もそれを振り下ろす)

兄ちゃん、死なねえ程度に頼むぜ

蘭「あいよ」

(…一部始終を陰から見ていた抗争相手の一人は、震えながら身を隠した。
「噂通り、やはり灰谷兄弟は残酷で恐ろしい…」と)
わざと怪我する竜胆(抗争