「……そう?○○ちゃんがそう言うならいいんだけど……分かった。
本当にごめんね、わざわざここまで連れてきてこんな話しちゃって。私の思い過ごしなら、あなたにも彼にも申し訳ないことしたね。

ただ、本当に気をつけてね?人を騙すのが上手な奴は優しいフリも上手いから。
何かあったら、誰かにすぐ相談するんだよ。私も出来る限り力になるからね」

(はい、と答えたら「じゃあみんな待ってるし、行こうか」と笑いかけてくれた。
彼女はただ純粋に私を心配してくれただけなんだ。有難いな、と思いながらトイレを出ようとすると…

少し先を歩いていた先輩が顔を強張らせ、一瞬固まった。
どうしたんだろう、と思いながら私もトイレから出ると…)







(竜胆が、女子トイレの前で立っていた)

(彼は、私ではなく先輩に目を向けてじっと彼女を見たあと、打って変わって人懐こそうな笑みを浮かべる)

遅いから迎えに来ちゃった
大丈夫スか?皆サン待ってるから、早く行きましょ

(竜胆が先輩に向けてそう言うと「そう、だね」と狼狽えたように目を逸らした)

(…)






じゃ、オレらはこれで
また機会があれば一緒に飲みましょー

(じゃあねーバイバーイ、と同僚…特に女の子たちが手を振る。
私も控えめに振り返して、自宅への帰り道を歩き始める。チラッと隣の竜胆を見たら、機嫌が良さそうに鼻歌を歌っていた。

運悪く目が合ってしまい「なーにー?○○ちゃん」と言いながら腰に腕を回してくる)

(近い近い!まだ同僚たちからそんなに離れてないのに!)

(やんわり抵抗すると、竜胆は「つれねーの」と言って唇を尖らせた)


…なんで、あんなことしたの?
だ、大丈夫ですよ!あの子、すっごく優しくていつも私に良くしてくれるんです。怖いことなんて何もされてないですよ