(シャワーを終えた蘭が、タオルで頭を拭きながら脱衣所から出てきた。
上半身が裸で、目のやり場に少し困る)
竜胆は朝から見ていない
今日俺が○○とデートするって知ってるから、どっか出かけてんだろうな
(そっか…邪魔しないようにって気を遣ってくれたのかな)
…。(蘭は無言でソファに座り、こっちを見て手招きした。
彼の隣に座ると、肩に腕を回される)
(ちょっ…髪の毛ちゃんと拭かないと、まだ濡れてる…)
ゴメンゴメン。…なあ、○○が拭いて?
(私に向かって頭を差し出してくる。
しょうがないな…)
(彼の首にかかっていたタオルを取り、綺麗な髪を痛めないようになるべく丁寧に優しく拭く)
…気持ちいい
(蘭のうっとりした声が聞こえた)
(はい、後はドライヤーでキチンと乾かしてね)
うん、ありがと
(…?)
(髪を拭き終えたのに、いつまでも離れようとしない。
蘭さん、と声をかけようとしたら「さっき、猫カフェでさ」と私の声に被せるように話し始めた)
ここにいる奴らにあんまり懐かれるな、って言ったろ?
アレ、嫉妬したから
あんな動物相手に妬いたんだ、俺
恋人同士でいられるのは今日だけだってのに、ンなことすっかり忘れてさ。おめでたいよな
誕生日だからって、頭ん中花畑のクソ能天気野郎
今日一日中、そんな感じだった
アンタを見るだけで心がふわふわして、まるでホントに俺の女なんじゃないかって、そんな気さえしてた
…はぁ。竜胆に返したくねえなぁ
今日って日がずっと続けばいいのに
(ぐりぐりと肩に頭を押し付けてくる。ちょっと痛い)
(…なんか、蘭さん今日はワンちゃんみたいだね?普段は気まぐれで自由な感じが猫っぽいのに)
はぁ?何言ってんだよ
犬はどっちかっていうと竜胆のほうだろ
(じゃあやっぱり猫ちゃんだ)
……にゃあ
(耳元で呟くように言われ、くすぐったさに身をよじる私を見てクスクスと蘭が笑った)
なー、犬と猫どっちも飼う気はない?
甘えん坊で寂しがりな
竜胆と、マイペースで気まぐれな
俺両方いたら、きっと毎日楽しいぜ?
アンタが主人なら首輪だってしてやってもいいし、犬みてぇにお手やお座りしてやるよ
俺だけ、なんて言わないからさ
竜胆と一緒に蘭ちゃんのことも貰ってくんない?
…蘭さん、私は…