小説版終章1分切り抜き
「え? 屋上のあの血痕は貴女のじゃないの?」
事件から1週間、私達2人は互いにリハビリ運動の為あの屋上に来ていた。
「そもそも私が屋上にいたのはあの日が初めてよ」
松葉杖をつきながら今回の唯一の被害者「弓鳴 藍」はあの日までの出来事を話してくれた。
どうも彼女は、あの変なのを退治する為この病院に来たのだが逆に隙を突かれて体を乗っ取られたらしい。
「それにもし仮に私が血を流していたら、あの怪は実現の条件を満たして貴女と出会う前に生まれてるはずよ。
そうならないように私は自傷行為を止めたり、あの日屋上から飛び降りるのをぎりぎりまで耐えたり大変だったんだから」
労いの言葉をかけない私に何か言いたげな顔をして彼女は話す。
彼女も彼女で大変だったのだろう。しかし、私だって酷い目にあったのだ。
彼女があの変なのを油断して倒せなかったばかりに私は大切な髪留めを失ったのだ。
この悲しみは彼女の怪我の分まで引いておつりがくると思う。……おつりがくると思う。
「それはそうと鈴のあの術?どうやって身に着けたの?」
後頭部をさすりながら彼女は私のイミテイトについて聞いてきた。
「あれは何かこう、出せた」
彼女の呆れ顔と彼が扉を開けるタイミングは見事に一致していた。
「あ!二人とも先生が捜してたよ」
慌ててそっぽむく彼女を見て私は女の勘が働いた。
「そ、そう!ありがと!わかったわ」
好きな人の前ではかわいい自分しか見せたくないものね
その気持ちよく分かるけど諦めなさい。
私は風利用しスカートを優雅に舞わせ振り向いて答えた。
「薫、ありがとう。でもここは病院。たとえ屋上でも静かにしなきゃだめよ」
頬を赤らめ素直に謝る彼。
そう、彼が好きなタイプは落ち着いた大人の女性なのだ。
彼女のように感情を上手くコントロールできない女性は彼のタイプではない。
このまま彼女に決定打を見せつけ諦めてもらおう。
「あら?薫。そんな顔でじっと見て、(私のこと)好きなの?」
これまでやり取りで彼が私を好きなのは間違いない。
好きと言わずともこのまま最悪沈黙でもすれば肯定も同然。
「え!?そ、そんなんじゃない!き、嫌いだ!!!」
ん?
走って逃げていく彼と台詞に私の理解は追いつかなかった。
――――――――――――――――――――――――――――Fin。
走って逃げる彼。
うなだれ髪切ろうとつぶやき続ける彼女。
この調子なら私にもチャンスはありそうね。
しかし、鈴さんって大胆ね。
あんな丸見えにして好きなんて聞かれたら
思春期じゃなくてもテンパって逃げるわ
それにしてもこの病院って大丈夫かしら?
丸見えが好きかと聞く痴女がいるわ
私服で働く看護婦や鼻に包帯撒いてる医者もいるし
私の打撲とねん挫で2週間は入院しろって言われるし
はぁ、はやく日常に戻りたいわ……。
絵本置き場夏めく編⓪④