1988年 夏。
羞花閉月(シュウカヘイゲツ)な乙女
金城 鈴の人生はそれまで妄想を中心に回っていた。
病弱で動き回ることのできない彼女の楽しみは
体力を振り絞りする読書と家族・友人との会話だけ
そんな彼女が豊かに過ごせるのは妄想のなかだけだった。
例年よりも梅雨入りが早かったこの日
たまたま読んだ小説の登場人物の真似をして彼女の人生は大きく変わった。
ダーツを投げる彼の姿を想像しながら動かした指先
その指先から突然放たれた謎の力。
その力は鈴の体調に大きな影響を与えた
それまで動かすこともつらかった体が軽くなり
鈍痛によりまとまらなかった思考が明瞭に
時を同じくして
巷ではある噂が突如生まれた。
様々な抽象的なその噂にはある共通点があった
血塗られた少女と藍色の怪人の登場。
子供だましなその噂の一端に触れた鈴は
真実を突き止めるため調査を始めた。
決して病状の好転によりテンションが上がった影響ではなく
純粋な正義心と謎の力との関連性を調べる為であると自分に言い聞かせながら
絵本置き場夏めく編⓪