(ふと目を開くと、目の前に黒い影が立っていた)失礼、いつまで留まっているのかと観察していましたが、あまりにも時間を取られ過ぎています。
そのため、やや強制的に扉を開かせていただきました。
(黒い影はザワザワと揺れる)貴女はここで立ち止まってはいけない。
貴女はここを頼りにしてはいけない。
貴女はここに根を下ろしてはいけない。
貴女の道はいずれ途切れますが、それはここではありません。
ならば、貴女は歩まねばならない。
そう決め、命じたのは貴女でしょう。
(ざわめく影は段々と世界を覆い、同時に私の意識も黒く塗られていく)さぁ、最期の真実を取り戻しましょうか。
(何かに足を取られ、落ちるように沈んでいった感覚だけは覚えている──)→