(学校から帰り、机に鞄を置いてようやく一息を吐いた)
(その鞄から取り出したのは、一枚のお札)
(お札と言っても、神社のとかのソレではなくてクラスメイトのTくんの手作り品。どこか禍々しい)
(護符みたいに部屋の一角に張る、とかいう使用方法ではないらしいのだけど)
(たしか「血を捧げる」とかなんとか……)
(……あぁ、だめだ。他の言葉が強すぎてそのワンフレーズしか覚えてない……)「
関係ないけど、良い紙使ってるよなぁ……あ。」
(スパリ、と札の縁をなぞっていた指が綺麗に切れた)
(傷自体は深くないけれど、長いからかゆっくりと血が伝っていく)
(止血止血、とティッシュに手を伸ばすものの、箱は空っぽで。そうしたら、あとは……)
(目に止まったのは、片手に握られたお札)
(貰ったものを速攻で汚すのは気が引けるけど、まぁ元々血を捧げろとか言ってたし、構わない……よね?)
(誰に向けているのかわからない言い訳をしつつ、傷口を紙に押し付けると、まぁなんということでしょう、)
(発 光 し て 浮 い た 。)
(いやいやいや何だコレ、どういう仕組み? 水分と鉄分とに反応する薬品?)
(それにしても眩しい。何で浮くんだ)
(悶々と考えている間にも、お札を中心にした光は円……いつもTくんが描いている魔法陣のようなものを形どっていく)
(すごい、今流行りのプロジェクションマッピングってやつか)
(んなわきゃない)
(魔法陣が展開しきれば、今度はどこから起こっているのかわからない風が部屋の中を渦巻く)
(っていうか強い! ほぼ突風じゃん! カードをキャプチャするやつで見たコレ!!)
(風に目を細めたのに数秒遅れてさらに強い発光──と、誰かに押し倒された)→
▽プロローグ