キミが分かりやすすぎて心配になってきたよ……
知っているどころか、友人の類いなのかな? 探す範囲が狭まるのはありがたいけど。

(不意に、死神さんは辺りを見回す)

日向クンは……いないみたいだね。
魔族を友人に持っていると自覚しているらしい、魔物使いのキミに一つ忠告しておこうと思う。
魔族の栄養は、生きているものの生命エネルギーたる魔力だ。

使い魔に与える分なら基本的に問題はないけれど、無意味に与えたり自立した大物が側に居るなら話は別なんだよ。
やつらは、自らが存在するために周りの生き物の生命エネルギーを吸い上げる。
といっても、本人の能力が抑えられているなら微々たる量で済むんだろうけど……

もし二人きりになる機会が増えているのなら、それはキミにターゲットを絞っているんだと思った方がいい。
そんな訳ないって顔してるけど、キミはアイツらの本性を知っているの? 犯した罪の数は?
……ほら、何も知らない。


それから、「無駄足」って言ったけど、ボクも自分の意思でここに居る訳じゃなくてさ、上からの命令なんだよ。だからどうしようもないんだ。
例えいない存在だったとしても、見付からない限りボクは帰れない。

そういうわけだから、引き続き情報をよろしくね。

(最後に笑顔を見せて、死神さんはその場を離れていった)
(彼の言う“大物”が見付からない限り、彼はこの街を離れられない……)

(……?)
(“捕まえない限り”じゃなくて、“見付からない限り”?)


▽い、いないよ!そんなの知らない!この街には絶対いないから無駄足だよ!