──あぁ、ここにいたか。
●●、手を差し出せ。
(言った通りにすれば、柔らかな肌触りのストールが乗せられた)
今日はホワイトデー、というやつなのだろう?
先日は防寒具を貰ったからな、この世界の風習に合わせ、俺様手づからマフラーの一つでも編んでやろうかと考えたのだが、もう暖かな風が頬を撫ぜる頃だ。
ならばいっそ、揃いのものでも用意するかと思ってな。
今貴様に渡したそれは、俺様が身に着けているこれと同じものだ。
向こうから特別に取り寄せた。
同じといっても、俺様のものと違って一つ呪いを仕込んである。
「身に着けている者に近寄る悪を払う」という術なのだが、一つ難点があってだな……
本人が“悪である”と認識しなければ発動しないという──いや、蛇足か。
着けるも着けないも貴様の自由だ。好きにするんだな。
……いつも感謝しているぞ、○○。
△魔王からのお返し