(人生二度目の高校の入学式。まさか、そんなことが起こるなんて思ってもいなかった)

(雨みたいに降る桜の花びらに見とれながら歩を進めていると、不意にがくんっと視界が傾く)
(コケた)
(しかもどんな足挫き方をしたのか、桜のまぶされた青空が目の前一杯に広がって──)


「っぶねぇ!」

(男の人の声がしたのと同時に、体が強く引き寄せられる)
(次の瞬間、空しか見えなかった視界は、キツめのツリ目の男の子で占められていた)


「焦った……大丈夫か? 足は?」

「……そっか、良かった。
 今日来てるってことは、オメーも新入生なのか? オレはそうなんだけど」




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