(ある日の夜、なんとなく寝付けなくてコテージ奥のプールサイドを歩いていたときのこと)

「──……─」

(風のざわめき、木の葉のさざなみ、葉の擦れあう音)
昼間の賑やかさなど欠片も見つからない世界のなか、ふと何かが聞こえた気がして足を止める)


「ぷぷ……うぷぷぷ……」

(笑うというよりは嗤うような、たっぷりの悪意がこもった声が真後ろから聞こえ、つい振り返って──)

(そこからの記憶は、ない)





↑とある夜の出来事