(……マヤノが何を待っているのかはわかっているけど、ふとちょっとしたいたずら心が芽生えて、あえて気付いてないふりをすることにしてみた。)
(そうして暫くノートパソコンと向かい合って淡々と作業をしていると、痺しびれを切らしたのかマヤノから声をかけてきた。)
ねーねートレーナーちゃん! 今日は何の日だと思う~?
(勿論知ってるよ、今日はホワイトデーだよね。)
(……という言葉をぐっと飲みこんで、「……何かあったっけ?」とすっとぼければ、段々とむむむっとした表情になっていく。)……忘れちゃったの? 今日は──
(そうマヤノが言いかけたところで、コンコンとノックの音が部屋に響いた。)
(やってきたのはたづなさんで、少し手伝って欲しい事があるとのこと。)
(流石に仕事のことは断れないし、手が離せないというわけでもなかったので、マヤノに少し行ってくると告げて、トレーナー室を後にした。)
……むむむむ。